『border:2』STAFF NIGHT レポート

12月17日(火)新宿バルト9にて、竹内敦志監督(「border:2」監督)、井野元英二さん(3DCG監督)、
西村知恭さん(ラインプロデュサー/プロダクションI.G)、MCにアニメライターの小林治さんを迎え、
トークイベント「STAFF NIGHT」が開催された。


(写真左から)竹内敦志監督、井野元英二さん、西村知恭さん

攻殻機動隊ARISEの3DCGについて

井野元さん
いつもその作品に合わせて、ベストな表現で作っていくという姿勢は変わらないですね。ただ攻殻機動隊は、嘘をつけないというのが大前提にある気がします。というのも、以前“S.A.C.”TVシリーズに参加した際、I.Gの方々がディティールにこだわってやってきた部分を当時から知っていますし、実際に竹内監督から上がってくるコンテを見ても、実写で撮ってもおかしくないような演出が多く含まれているので、そこは守っていければと思ってやっています。

竹内監督
リアルにはこだわっていますが、実写っぽくとかは特に意識はしてないです。というのもひとつひとつ実写通りだと映像にひっかかりがなくなり、つまらない映像になってしまう。そこはアニメーションとして誇張するものは誇張するし、押さえるところは押さえてというのが大事と思っていますが、(井野元さんの会社である)オレンジさんはアニメのCGをたくさんやられているので、ご一緒出来たことで今回はそれが非常に上手くいきました。

ロジコマというキャラクターについて

井野元さん
“S.A.C.”TVシリーズの時にタチコマというロジコマの次の世代のロボットの3DCGに携わっていましたが、最終話付近でタチコマに対して感情移入して泣けたとかいう反応を当時聞いた時は非常にうれしかったですね。演技、動きの基本は今回のロジコマも、タチコマとあまり変わりません。タチコマの時に、どうやってしゃべらせようか悩んだときがあって、口にあたる部分に小さい銃をピコピコ動かそうと思ったのですが、それだとつまらないのでボディアクションでやろうということになった経緯があります。ロジコマも感情表現は目と手しかないので、ボディパーツを駆使して表現していますね。

竹内監督
コンテでは動きのガイドラインはありますが、こちらが驚くぐらい、芝居が細かく入ってくるので映像が上がってくるのを楽しみにしていましたね。

高速道路のアクションシーンについて

井野元さん
カーアクションをやる上でネックなのは、背景の街を全部描かないといけないというのがあるんですが、そこを竹内監督のアイデアだと思うのですが限定された空間、今回で言うと高速道路というシチュエーションでなんとかクリアできたと思います。ほとんどが道路と端に映るビルで表現出来ましたので。といっても美術で描いていただいた背景もあったので、けっして楽ではなかったと思いますが。

竹内監督
夜の高速道路は上手くいっていると思いますね。

高速道路のシーンでは,3DCGならではの映像表現になったと以前お聞きしましたが

竹内監督
3DCGが使える利点をアクションに生かしたいと思っていまして、高速道路のアクションシーンはカメラワークで迫力を出せればと思いました。
作画でやるとなると、回り込んだりする動きはどうしても難しいんです。そこを3DCGにすることで背景も含めてカメラを自由に動かすことができ、ダイナミックさが出てくる。でも後半の夜の高速道路はCGの出番だらけで、総カット数もキャパオーバーしていたので正直ひやひやしていました。

井野元さん
そういえば打ち合わせの時に一番最初に納期を延ばしてくださいと言いましたよね(笑)。

西村さん
お二人とも、こだわりがすごいので現場は正直大変でした。でもお願いした以上のものを常に提案してもらっていましたので、ありがたかったですね。

井野元さん
border:3,4もやらせていただくつもりですが、黄瀬総監督は同じでも各話で監督が違いますので、個性もそれぞれ全然違うんですよ。それもこれから作っていくときの楽しみです。竹内監督とは昔一緒に仕事をしたこともあり、CGが好きだというのは知っていたので、私の出番は今回多いという予感はしていました。実際その通りになりました(笑)。現場では自由にやらせていただいたので、それは映像にも反映しているのではと思っています。アニメの作り手の方から観ても面白い内容になっていると思います。ぜひ第3話も楽しみにしていただければと思います。

その後はプレゼント抽選会も行われ、満員のお客様との「濃密な」トークイベントは盛況に終わりました。来場いただいたお客様ありがとうございました。